ひでじ工房は、皆様のおかげで11年の節目を迎えることが出来ました。そこで、私が家具を製作するにあたり長く使って頂けるようにどのような事を工夫しているか等を4項目に分けお話していきたいと思います。
①ワックスの保護について
②木材の伸縮(反り)について
③椅子の強度について
④色について
①ワックスの保護について
ワックス保護についてお話する前に、無垢板について説明します。
無垢板とは、何も手を加えていない自然なままの木の事を言います。
無垢板は、伐採後もお部屋の環境に合わせ、湿度が高いときは
水分を吸収し、乾燥しているときは、水分を放出します。
この特徴が、無垢板の伸縮となります。
時には数ミリ、サイズが変わる時もあります。作業工程最終の表面の保護の仕方により
無垢板の伸縮が変わってきます。
保護の仕方でよく使われているのは、ウレタンや蝋ワックスなどがあります。ウレタン保護とは、表面をプラスチックのような薄い膜で
覆い、無垢板の伸縮を止める保護になります。
一般的には、つやのある家具になります。
ウレタン保護でもつやの有り無しは調整ができますが、
完全なつや無しにはできません。
つや無し仕様でも少しだけつやがあります。
こちらは、無垢板の水分の出入りする穴を
完全にふさぎますので、塗ってからは
伸縮しなくなります。ウレタン保護での制作も可能ですが、
当工房の基本的な最終仕上げは、蝋ワックス保護になります。
蝋ワックスは、蝋を表面に覆い、穴をふさがない保護方法になります。
その為、制作後も伸縮があります。
つやはほとんど無く、無垢板の雰囲気を保ちます。ワックス保護のメリットとしては、
定期的なメンテナンスで、味も出やすく、
色の変化も楽しめ、空調のお手伝いもし、
無垢そのものの魅力を十分に楽しめる仕上げになります。しかし、無垢板に伸縮があると伸び縮みを繰り返すため
反りが出やすくなるデメリットもあります。②木材の伸縮(そり)について
金額を考慮しつつ、ホワイトパインの素材以外にも
今まで制作をしてまいりましたが、
つくりを考慮しても、残念ながら反りが出てしまう素材もありました。
その為、現在は、反りが出にくいホワイトパインのみの制作となりました。家具の中で、テーブルの天板が反りが出やすくなります。
天板は無垢板が自由に伸縮できる箇所が多いため
一番伸縮の影響を受けやすい箇所になります。無垢板は、年輪の外側が木表、内側が木裏になります。
反りは、木表側に反ってきます。(図A参照)
天板においてこの表と裏の組み合わせが重要になってきます。
木目の状態や制作者によって組み合わせはそれぞれ異なりますが、
奥行80cmの場合の天板を、20cmの無垢板4枚圧着した例で説明します。
当工房は、中心2枚が木表、端2枚が木裏で組み合わせています。(図B参照)
中心2枚は両端が固定されているため上に反りにくく
端2枚は下に反りが出やすくなりますが、
脚を支える幕板とテーブル脚に力を抑えられ
下にも反りにくくなっております。
もし仮に少し反った場合にも、下に反るため
天板のご使用に支障が出にくくなっております。
図A図B
下記画像が天板を木口側から見た画像です。
ちなみに、下記画像は4年使用した天板になります。天板の反りはございません。③椅子の強度について
椅子は、家具の中でも体重がかかり、なおかつ
常に引いたり押したり、移動の多い家具で
非常に強度を求められる家具になります。ダイニングチェア001
当工房の椅子は、デザインは当初より変わっておりませんが、
部材の組み合わせ方や脚の太さ、脚、背板の取り付け角度など
座りやすさも含め、常に改良を行っております。例えば、オリジナル商品ダイニングチェア001の
はめ込みの脚には二重の窪みを作り、
そこに脚をはめ込みさらに抜け防止でくさびを入れ
頑丈なつくりで製作しております。
毎日のご使用に耐え、長く使って頂けるよう
他の椅子もダイニングチェア001同様、
日々、改良を重ね、最善の方法で製作しております。④色について
色サンプルや、ホームページ画像の色は
出来上がった直後の色になります。
出来上がってから、1年ぐらいは
木材もまだ色の変化が少ないので、
色の濃さも変わりません。
2年ほど経つと、紫外線等の影響で
木材の色が少し赤みが増し変化が出てきます。
これが、よく言われるあめ色に変色していく過程になります。木材表面は、色を入れ、木材自体の色ではありませんが、
木材自体の色が変化していくと、
色自体も若干濃くなってまいります。
下記画像は、ウォルナット色ですが、
出来上がった直後と4年後を比較しています。
画像のように変化していきますので、
画像の度合いぐらいを考慮して色を選ばれたほうが良いです。ひでじ工房は、
使い続けて愛着が増して頂けるよう、
未来の家具のために努力してまいります。